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ユニバーサルデザインは、プロダクトデザインの概念ではなく、良質なものを作っていく生産運動としてとらえています。障害者も高齢者も健常者も子供も使える創造物は、一朝一夕で作ることはできないからです。ですから、ユニバーサルデザインを進める際には、従来言われている方向性に加え、全部で10の要件が必要だと言い続けています。一般的には、(1)セイフティ(安全性)、(2)アクセスビリティ(接しやすさ)、(3)ユーザビリティ(使い勝手の良さ)、(4)アフォーザビリティ(価格妥当性)、(5)エステティック(美しさ)の5つを満たすものが、ユニバーサルデザインとされています。ただ、これでは重要な要件が不足しています。 ユニバーサルデザインは日本語にすると「共用品」と訳されますが、この考えを深めると、まだ見ぬ子孫とも共用するものづくりという考え方につながる。つまり、(6)サステナビリティ(持続可能性)が重要だと思うのです。これは従来、エコデザインという観点で語られてきたものです。(7)ホスピタリティ(慰安性)も忘れてはなりません。アクセスビリティやユーザビリティを追求すると、つい機能性や合理性に走りがちです。しかし、お年寄りの記憶を考えると、時にはアナログのほうが使いやすい場合があります。広い意味で、安らげるものづくりを考えるべきだと思うのです。 そして、(8)エキスパンダビリティ(拡張性)です。一朝一夕にできないからこそ、拡張性を考えたデザインにしておくことが大切です。技術は年々確実に進歩します。例えば、燃料電池が市場化されたときに、代替導入できるような住宅にしておくという発想が大事なのです。 生産運動という観点からは、(9)パーテキューション(参画性)も非常に重要です。バリアフリー製品が障害者に実際に意見を出してもらって開発しているように、多様な生活者を参画させ、継続的に使い勝手を見直しながら進化させていくことが大切です。今後、容器や家電のリサイクルが法制化されると、メーカー、自治体、ユーザーすべてに責任がかかってきます。そのときに、否応なく参画性が必要になると思うのです。 最後に、(10)リージョナルバリュー(地域的な価値)。使い勝手のいいものは、グローバルスタンダードのようなものを追いかけることではありません。やはり、その地域で育った人の記憶に優しいとか、地域が生み出していく再生可能なものを使っていくことが重要になってくる。 日本的価値の再考が望まれているのです。 見方を変えるなら、ユニバーサルデザインは「バリアフリーデザイン」「エコデザイン」「パワーデザイン」の3つの軸でものづくりを考えることとも言えます。パワーデザインというのは、燃料やエネルギーに、人間力を加えたものですが、この3点をきちんと考え、かつ「共用品は共創品でもある」という視点をもって社会のリデザインに取り組んでほしいと思います。 |
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| あかいけ・まなぶ…… | 1958年生まれ。筑波大学第二学郡生物学類卒業。静岡大学大学院教育研究科中退。著述業などを経て、現在、ユニバーサルデザイン総合研究所所長。生活者重視社会、循環型社会を積極的に提唱し、環境問題にも取り組む。「ものづくりの方舟」「トヨタを知るということ」など、著作多数。
http://www.udinet.com/ |
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