G front特集

共用品が普通の商品になるよう世界に働きかけます

星川 安之氏 ユニバーサルデザインと「共用品」の目指すところは同じだと思います。ただ、ユニバーサルデザインが「みんなが使えるような物を作ろう」という考え方だとすると、共用品は実際に共用化された「物」を作ることに重点を置いています。つまり「コンセプト」と「商品」の違いと言ってもいいでしょうね。
 ユニバーサルデザインの言うように、誰もが使える商品を作るのは理想ですが、現実的に考えれば非常に難しいことです。ですから共用品推進機構では、いままで一般向けに作られていた商品(汎用品)が、障害のある人、年齢の高い人や低い人でも使えるように少しでもいいから、配慮や工夫がなされたものを総称して「共用品」と定義しています。例えば、目が見えない人だけが使える物ではなく、見える人も使える。そうした共通項のある商品を「共用品」としています。
 共用品という言葉が使われはじめたのは1980年代前半だったと思いますが、考え方自体はそれ以前に生まれていました。当時は、一般商品と福祉機器の間にあるグレーゾーンの商品ということでした。それが、各企業やボランティア団体の活動がすすみ、次第に一般商品の中に配慮を加えたものが生まれはじめて、普及していったという感じです。
 共用品推進機構では、前身のE&Cプロジェクト時代と同様、「課題発見」「製品・サービスへの配慮点の検討と標準化の検討」「共用品の普及・啓発」を柱に活動しています。
 「課題発見」とは、いまの世の中で不便を感じている人、つまり障害者や高齢者、妊婦たちが、実際にどこに不便を感じているのかという調査です。「製品・サービスへの配慮点の検討と標準化の検討」とは、そうした調査で明らかになった不便さを解消する方法の検討。そして「共用品の普及・啓発」は、関係機関や業界、JIS(日本工業規格)への働きかけ、「共用品」をテーマにしたイベントの開催、出版などを行っています。
 共用品は、一般商品に比べ開発コストがかかるといった声もあるようです。確かに、特別な商品と考えて、あとから何か付け加えようとすると費用がかかるでしょう。しかし、消費者には目が見えない人もいれば耳が聞こえない人もいると考え、最初からそうした工夫を盛り込んで開発すれば高くはないのです。
 今後、高齢社会になることで高齢者問題(障害者問題も含め)が大きなテーマになります。私たちの市場調査でも、すでに1兆円以上の市場規模があります。現在、共用品を開発している企業の思惑はさまざまでしょうが、大切なのは消費者にとっていい製品であることでしょう。そうなれば、市場が広がってコストも抑えられるようになり、さらに市場が拡大するでしょう。その結果、誰もが暮らしやすい社会になることが願いです。現在、ISOにも働きかけ、国際的に「KYOYOHIN」を広げていきたいですね。

 
ほしかわ・やすゆき…… 1957年東京生まれ。80年、玩具メーカーの(株)トミー入社、商品開発部に所属。同年、商品開発部内に発足した「HT(ハンディキャップトイ)研究室」に配属。91年、E&Cプロジェクト発足とともに事務局長に就任。99年、(財)共用品推進機構の設立に伴い、専務理事・事務局長に。(株)トミー経営企画本部小さな凸室室長でもある。

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